■ 白髪ができる仕組みとは?〜最新の研究でわかってきたこと
髪の毛に色をつけているのは、「メラニン色素」です。
このメラニンは、髪の毛の根元にある**「毛包(もうほう)」の中にある色素形成細胞=メラノサイト(melanocyte)**が生成しています。
メラノサイトが作り出したメラニンは、同じく毛包の中にある「毛母細胞」に受け渡され、髪の主成分であるケラチンと一緒に髪の毛へと練り込まれ、私たちの髪の「黒さ(もしくは茶色など)」となってあらわれるのです。
● なぜ白髪になるのか?
白髪とは、メラニンが作られなくなった髪の毛のこと。
つまり、「髪に色がつかなくなった状態」です。
では、なぜメラニンが作られなくなるのか?
いくつかの原因が研究によって明らかになってきました。
1. 加齢によるメラノサイトの減少や機能低下
年齢を重ねることで、毛包内にあるメラノサイトの数自体が減少し、さらに**メラニンを作る力(酵素チロシナーゼの活性)**が衰えることが確認されています。
また、メラノサイトのもとになる「メラノサイト幹細胞」も年齢とともに枯渇するため、失われたメラノサイトが再生されなくなることも白髪の根本的な要因とされています。
2. 酸化ストレスの蓄積
近年注目されているのが、「酸化ストレス」の影響です。
紫外線や喫煙、大気汚染、ストレス、過剰な糖質摂取などによって体内で発生する活性酸素が、メラノサイトにダメージを与えることで、メラニンの合成が阻害されると考えられています。
特に40代以降は、体の抗酸化力も落ちてくるため、ダメージが蓄積しやすくなります。
3. 栄養不足や血流の低下による代謝の衰え
メラノサイトが正常に働くためには、十分な酸素や栄養素が毛根に届いていることが前提です。
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血行不良(冷え・運動不足)
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睡眠不足
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栄養の偏り(タンパク質・亜鉛・ビタミン不足)
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ホルモンバランスの乱れ
などにより、毛根に必要な栄養が届きにくくなると、メラノサイトの働きが鈍り、色素が作られなくなってしまうのです。
4. 慢性的なストレスと神経系の影響
最近の研究では、強いストレスがメラノサイト幹細胞に直接ダメージを与える可能性も示唆されています。
慢性的なストレスにさらされると、自律神経やホルモンバランスが崩れ、毛包内の微小環境が乱れたり、炎症が起きることで、メラノサイトの機能が著しく低下するという報告もあります。
一説では「一晩で白髪になった」というエピソードも、極度のストレスによるメラノサイトの急速な損失が関与しているのではないかとも言われています(※まだ仮説段階ですが)。
▶︎まとめ:白髪は「色を失った髪」。原因は1つではなく複合的
白髪は単に「老化」の一部ではなく、
細胞の機能低下・酸化・ストレス・栄養不足・血行不良など、さまざまな要因が組み合わさって起こる現象です。
完全に白髪を防ぐことは今のところ難しいですが、
生活習慣を整えたり、頭皮環境を整えることで、メラノサイトの機能を保ち、白髪の進行を遅らせる可能性は十分にあります。